従業員の食事代を厚生費にするには
従業員に食事を提供する場合、通常は給与として本人が課税されますが、食事代の一部を従業員が負担している場合には非課税にできる取扱いがあります。この記事では、税務上の食事支給の考え方と判定方法について説明しています。
![](https://zeirishi-suto.com/wp-content/uploads/2024/05/IMG_0554-2-300x254.jpeg)
1.食事を支給した場合の所得税の取扱い
(1)通常の取扱い
(2)課税しなくてよい場合
①残業や休日出勤をしたとき
②食事代を従業員が負担しているとき
(3)食事代の金額
(4)食事代を現金で支給する場合
2.具体例
3.おわりに
1.食事を支給した場合の所得税の取扱い
会社が役員や従業員に食事を支給した場合、次のように取り扱います。
(1)通常の取扱い
日常の食事代はあくまで個人の生活費なので、会社が無償で食事で支給している場合は、給与として従業員が課税されます。
(2)課税しなくてよい場合
①残業や休日出勤をしたとき
残業や休日出勤の際に支給する食事は、実費弁償的なものであるため、無償でも給与として課税されません。
②食事代を従業員が負担しているとき
福利厚生的な性格を考慮して、次の2つの要件を満たす場合は、給与として課税しなくてよいこととなっています。
- 食事代の半分以上を従業員が負担していること
- 1か月当たりの会社の負担額が税抜3,500円以下であること
(3)食事代の金額
食事代は次のいずれかの金額で計算します。
①弁当などを購入して支給している場合
業者からの購入金額
②社員食堂などで会社が調理して支給している場合
材料費で直接かかった費用の額(計算しやすくするため、水道光熱費や人件費等の間接費は含めません)
(4)食事代を現金で支給する場合
食事を現物ではなく、食事代として現金で支給する場合、通常は支給する全額が給与となります。
2.具体例
以下の具体例を参考にして、判定方法を理解しましょう。
(1)1か月の食事代が6000円で、従業員の負担額が2,500円の場合
従業員が食事代の半分(3,000円)以上を負担していないため、会社負担額3,500円は給与となります。
(2)税込500円の弁当を従業員の負担額300円で20日提供した場合
税込の会社負担額 (500円ー300円)X20日=4,000円
税抜の会社負担額 4,000円-4,000円X8/108=3,700円(10円未満切捨)
判定 3,704円>3,500円のため、会社負担額の4,000円が給与となります。
3.おわりに
食事代3,500円まで非課税となる制度は、飲食業などのまかないや、社員食堂や宅配弁当を利用している会社で活用できる内容となっています。会社負担額の上限に注意しながら、福利厚生として活用すると良いでしょう。