(法人成り)個人事業主が法人を設立する7つのデメリット

法人成りしたけど「思ったより節税にならない」「維持費が重い」などは、よくある話です。

デメリットを知り、法人化によって、後悔することがないようにしましょう。

法人成りのメリットは「(法人成り)個人事業主が法人を設立する12のメリット」をご参照ください。

法人成りのデメリット
 

個人事業で赤字の場合、所得がないので所得税や住民税がかかりません。

法人の場合は赤字であっても、法人住民税の均等割がかかります。

均等割の税額は、資本金の額と従業員数に応じて決まり、最低でも年間7万円程度がかかります。

 

法人の設立に最低限必要となる法定費用は、株式会社が22万円〜、合同会社が10万円〜となります。

このほかに、会社の資本金、印鑑や印鑑証明書代、司法書士への手数料などが必要となります。

<法定費用>

株式会社合同会社
公証人の定款認証手数料3〜5万円なし
定款用の収入印紙4万円
(電子定款の場合は不要)
4万円
(電子定款の場合は不要)
定款の謄本手数料約2,000円約2,000円
登録免許税資本金X0.7%
(最低15万円)
資本金X0.7%
(最低6万円)
合計222,000円〜102,000円〜

また、各種契約などについて、名義を個人名から法人名に変更する必要があります。

 

個人事業の場合は、事業のお金から、個人の生活費を出し入れできます。

法人成りをした後は、会社と個人は別人格なので、それぞれのお金を厳密に区別する必要があります。

会社から社長個人へ、役員報酬以外のお金を渡してしまうと、社長への「貸付金」となります。

社長への貸付金があると、金融機関や税務署に、経理がずさんな印象を与えるので注意が必要です。

 

個人事業と比べて、法人設立後は、会計・税務処理、決算申告書などの専門性が高くなります。

法人と個人の両面を見ながら検討する項目が増えるため、一般的に税理士の顧問料も上がります。

 

社会保険(健康保険と年金)について、個人事業では、次のいずれかの場合は社会保険への加入義務がありません。

  • 常時雇用する従業員の人数が4人以下の場合
  • 製造業、土木建築業などの適用業種に該当しない場合

一方、法人の場合は、人数や業種に関わらず、社会保険に強制加入となります。

社会保険料は、法人と個人で折半して負担するので、法人化により法定福利費としてコストが増加します。

事業形態加入義務
個人事業常時雇用する従業員が5人以上
(農林水産、飲食業などの業種を除く)
法人強制加入
 

個人事業の場合、帳簿記帳の特典として青色申告特別控除がありますが、法人では青色申告特別控除の特典はありません。

 

株主総会などを通じての意思決定が必要となることや、役員の改選、定款の内容更新など、事業運営上の手間が増えます。

また、廃業する場合も、公告等の一定の手続きを踏む必要があります。

 

個人事業の法人化にあたっては、税金面だけでなく、社会保険などのコスト負担などをシミュレーションして検討します。

運営面の負担も増えますので、総合的に検討した上で、進めるかどうかを決めるとよいでしょう。