2024年10月〜経営セーフティ共済の損金算入ルール改正

令和6年度税制改正で、経営セーフティ共済(倒産防止共済)の税務上の取扱いが変更されました。

2024年10月1日以後に解約した場合、解約後2年間は再加入しても経費に計上できなくなります。

この記事では、改正の背景、内容、対応方法について解説しています。

2024年10月経営セーフティ共済の改正内容
 

解約手当金を100%で受け取れる時期(加入後3~4年経過後)になると解約し、その後すぐに再加入する事業者が増えていました。

インターネットや書籍上でも節税目的での利用が推奨されており、本来の制度目的から外れていたため、今回の改正につながりました。

出典 中小企業庁 中小企業倒産防止共済制度の不適切な利用への対応について

経営セーフティ共済の活用方法については「経営セーフティ共済の4つのメリット、3つのデメリット」をご参照ください。

 

改正により、経費に計上するルールが変更となります。

<改正前>

支払った掛金は全額経費にでき、前納期間が1年以内であれば前納分の掛金も支払った年分の経費にできる。

<改正後>

2024年10月1日以後に解約した場合、解約後2年間は再加入して掛金を支払っても、経費にできなくなります。

 

「改正前までに解約すべきかどうか」「改正後に解約する場合はどうするか」について検討する必要があります。

 

(1)すでに支払済みの期間が40か月以上ある場合

支払い済みの期間が40か月(3年4か月)以上あれば、解約手当金を100%で受け取れます。

解約手当金の受け取りによる税負担を考慮する必要はありますが、改正前の9月までに解約し、その後再加入を検討してもよいでしょう。

 

(2)支払済みの期間が40か月未満の場合

支払済みの期間が40か月未満で解約すると、解約手当金が100%を下回ります。

改正への対応のために、元本割れにしてまで解約する必要はないでしょう。

 

(3)2024年10月以降に解約した場合

解約した後の2年間は、掛金を支払っても経費にできないため、次のいずれかの対応が考えられます。

対応メリットデメリット
再加入し、掛金最少額5,000円を支払う掛金納付月数を早く増やせる解約後2年間は掛金が経費にならない
解約後2年経過したら再加入する掛金が経費にできる掛金納付月数を増やすのが遅くなる

会社の状況により「掛金納付月数」を優先するか、「経費にできる金額」を優先するか、判断が分かれるところです。

 

改正により、制度の使い勝手は悪くなりますが、「税金を抑えつつ、積み立てもできる」有効な制度であることに変わりはありません。まずは、改正前の9月までに解約すべきかどうかを、検討してみてはいかがでしょうか。