日当を使った節税と福利厚生

業務で出張した場合に、日当を支給して節税や福利厚生に活用できます。社長の出張が多い場合や、従業員の士気を高めたい場合には、検討する価値のある節税方法です。

 

日当は、出張中の食事代や雑費をまかなうために支給される手当です。国家公務員の旅費制度では次のように説明されています。

日当は、旅行中の昼食代を含む諸雑費、地域内を巡回する場合の交通費を賄うための旅費であり、日数に応じ1日当たりの定額を支給される。

出典 財務省 国家公務員等の旅費制度の改正(参考資料)

通常の程度の日当であれば実費弁償にすぎないため、所得税や住民税は非課税で、社会保険料の報酬月額にも含めなくてよいこととなっています。日当を使った節税は、支給要件や支給額を記載した旅費規定を作ることで活用できます。

 

メリットは3つあります。

 

(1)所得税と住民税が非課税

通常の手当として支給すると、給与として所得税と住民税の課税対象となります。旅費規定に基づいて出張日当として支給すれば非課税扱いにできるので、役員や従業員個人の節税になります。なお、個人事業主の場合は、従業員への日当の支給はできますが、自分自身に対しての支給はできません。

 

(2)消費税の節税

国内出張での日当の支給額は、消費税の計算上は課税仕入れとして仕入税額控除ができるので、消費税の節税になります。また、所得税が非課税となる範囲内であれば、インボイスは不要で、帳簿に記載して保管してあればよいとされています。

 

(3)社会保険料の報酬にも該当しない

出張旅費などの実費弁償を受ける場合は、労働の対償とは認められないため、社会保険料の算定基礎となる報酬に該当しないこととされています。日当を支給しても社会保険料には影響がないので、算定基礎や月額変更に含めなくて良いとされています。

 

デメリットは主に2つあります。

 

(1)コストの増加

日当は、旅費規定に基づき、すべての従業員に対して支給することが必要です。役職に応じて支給額に差をつけることはできますが、出張が多い会社の場合には、コスト負担が増加します。利益や資金繰りへの影響を試算して、金額等を検討するとよいでしょう。

 

(2)高額な場合の否認リスク

「いくらまでなら認められるか」の明確な判断基準はなく、通達では次のような判定基準となっています。

  • 支給額が、役員と従業員全体で適正なバランスが保たれているかどうか。
  • 支給額が、同業種、同規模の他の会社等の支給額と比較して相当かどうか。

国内出張の1日当たりの相場としては、役員が3〜4千円程度、従業員が2〜3千円程度とされています。一般的な相場とかけ離れている場合、否認される可能性がありますので、実費相当額として説明できる金額の範囲内にしておくとよいでしょう。

 

日当を活用すれば非課税で受け取ることができ、個人の手取りを増やすことにつながります。従業員にも喜んでもらえるので、うまく活用していきたい制度です。