訪問介護事業の経営を理解するポイント

介護保険サービスには多くの種類があり、介護業界に関わりがないと、特徴が理解しづらいところがあります。

サービスごとに決められている人員基準や設備基準を満たして運営する必要があり、収入は報酬体系で決められています。

この記事では、訪問介護事業を理解するポイントとして、訪問介護の内容、人員基準、介護報酬、消費税の取扱いについてまとめています。

訪問介護の主な報酬
 

訪問介護は、訪問介護員(ホームヘルパーさん)が利用者の自宅を訪問して、次のサービスを提供します。

区分サービス内容
身体介護食事、排せつ、入浴などの介護
生活援助掃除、洗濯、買い物、調理などの生活の支援
通院等乗降介助通院等のための乗車や降車の介助サービス
 

訪問介護の人員基準では、「訪問介護員」「サービス提供責任者」「管理者」について、配置しなければならない人数等が決められています。

職種要件
訪問介護員常勤換算で2.5人以上
サービス提供責任者前3か月の利用者平均数40人につき常勤1人以上
管理者常勤1人(他の職務と兼務可)

利用者40人につき常勤のサービス提供責任者が1人必要となるので、従業員の状況により利用者数に上限があります。

 

介護報酬は、基本報酬と加算報酬の2階建てで構成されます。

厚労省の調査では、訪問1回当たりの収入平均は3,965円となっています。
(厚生労働省「令和5年度介護事業経営実態調査結果」)

 

(1)基本報酬

主な基本報酬は次のものがあり、所要時間は実際に訪問介護にかかった時間ではなく、ケアプランで決められた時間から算定します。

1単位の単価は基本10円です。(地域別やサービス別に10円~11.40円で設定されます)

区分所要時間基本単位数
身体介護20分未満163
30分未満244
1時間未満387
1時間以上567
以後30分ごと82
生活援助20分以上45分未満179
45分以上220

基本報酬だけでは単価が低くなるため、加算報酬を取得して単価を上げ、利益を出せる体質にしていくことが重要となります。

 

(2)加算報酬

主な加算には次のものがあります。

区分内容加算率など
2人介護加算1人では対処できない場合に、
同時に2人で訪問介護を行ったとき
所定単位×200%
時間外加算ケアプラン上のサービス開始時刻が、
夜間、早朝、深夜の場合
夜間、早朝→所定単位×25%
深夜→所定単位×50% 
特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅴ)「体制要件」「人材要件」「重度者等
対応要件」を満たす事業所である場合
加算(Ⅰ)→所定単位×20%
加算(Ⅱ)、(Ⅲ)→所定単位×10%
加算(Ⅳ)、(Ⅴ)→所定単位×3%
緊急時訪問介護加算計画外の緊急訪問を行う場合100単位/回
初回加算新規利用者に対してサ責が訪問
(同行を含む)する場合
200単位/月
生活機能向上連携加算(Ⅰ)(Ⅱ)リハビリ施設とともに評価・計画作成
を行い、サービス提供した場合
加算(Ⅰ)→100単位/月
加算(Ⅱ)→200単位/月
口腔連携強化加算口腔の健康状態の評価を実施し、歯科と
ケアマネに対して情報提供した場合
50単位/回
生活援助加算20分以上の身体介護に引き続き、
20分以上の生活援助を行った場合
20分以上→65単位
45分以上→130単位
70分以上→201単位
介護職員等処遇改善加算
(Ⅰ)~(Ⅴ)
介護職員の処遇改善について「月額
賃金改善要件」「キャリアパス要件」
「職場環境等要件」を満たす場合
所定単位×7.6%~24.5%

なお、介護職員処遇改善加算は、従業員に給与等で支給することが義務付けられています。

売上が増えても人件費として支給する必要がある分なので、別建てにして管理した方がよいでしょう。

 

消費税の取扱いは、介護保険サービスに基づく訪問介護は非課税となります。

介護保険対象外の交通費については、消費税の課税対象となります。

サービス消費税の取扱い
介護保険法に基づく訪問介護、
介護予防訪問介護
非課税
(利用者負担金も非課税)
介護保険の支給限度額を超えて
提供された居宅サービス
非課税
居住地域外の事業者からサービスを受ける
場合にかかる介護保険対象外の交通費
課税
 

訪問介護は、人員基準により利用者40人につき常勤のサービス提供責任者が1人必要となるので、利用者数には上限があります。

利用者ごとに訪問回数は異なるため、利用者が増えても訪問回数の増加につながらないこともあり、舵取りが難しい面もあります。

また、訪問1回当たりの基本報酬は高くないので、加算を取得して利益を出せる経営体質にすることが求められます。

毎月の売上総額だけではなく、訪問単価や訪問回数の推移等を経営者とともに分析し、加算の取得による売上への影響等を検討していくことが重要と考えています。